今井達也、いよいよアストロズ復帰!制球難の壁と向き合うMLB1年目の正念場
2026年1月、ヒューストン・アストロズと3年最大約98億円という大型契約を結んだ今井達也投手。日本球界のエース格として大きな期待を背負って海を渡った彼が、4月に入って「苦境」という言葉とともに語られるようになりました。
右腕疲労によりけが人リスト(IL)入りを余儀なくされ、リハビリ登板でも制球が定まらない——。そんな状況のなか、アストロズのジョー・エスパーダ監督は5月6日(現地時間)、「次回はメジャーリーグで登板させる」と復帰を正式に宣言しました。
MLB挑戦の本当の難しさは、マウンドに立ってからではなく、異国の文化に溶け込む過程にある——今井の苦境がそれを証明しています。
5月11日(日本時間12日)から始まるシアトル・マリナーズとの本拠地4連戦での先発が濃厚です。今シーズン最大の正念場、今井達也はこの壁を乗り越えることができるでしょうか。
衝撃の4月11日——1死しか奪えなかった先発
今井達也がMLBで深刻な課題を抱えていることが明らかになったのは、4月11日のシアトル・マリナーズ戦でした。この試合、今井はわずか1死しか奪えないまま5四死球・3失点という衝撃的な内容でマウンドを降りました。翌12日には「右腕疲労感」を訴え、10日間のけが人リスト(IL)に登録されることになります。
それ以前も内容は決して良くありませんでした。開幕からの登板で8.2イニング・防御率7.27・WHIPは2.08。日本時代の今井を知るファンには信じがたい数字です。
リハビリ登板でも制球難は続きました。
- 4月29日(ダブルA・コーパスクリスティ):2回6安打5失点3四球
- 5月5日(トリプルA・シュガーランド):3回1安打1失点5四球、63球中ストライクはわずか27球(ストライク率43%)
2度目の登板では失点こそ1に抑えましたが、ストライク率が43%以下というのは深刻な数字です。MLB平均のストライク率は約62〜65%。その差の大きさが、今井が直面している壁の高さを物語っています。
それでもエスパーダ監督は「次回はMLBで」と宣言しました。アストロズでは今井を含め8名がIL入りするほど投手陣が手薄な状況で、「戻す以外に選択肢はない」という台所事情もありました。
(参考:NHKニュース「アストロズ 今井達也 大リーグ復帰へ 11日からの本拠地4連戦で」https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015115621000)
ポイント① なぜ制球が乱れたのか——異文化適応という見えない壁
海外メディアのスポーツ・イラストレイテッド(SI)が今井本人へのインタビューをもとに伝えた内容は、改めて「MLBとは何か」を考えさせるものでした。
今井が適応に苦労している要因として挙げたのは——ボールそのもの、マウンドの形状、ピッチクロック、そして食事のスケジュールにまで及ぶと言います。
日本のNPBとMLBでは使用するボールの縫い目の高さや硬さが異なります。今井が西武ライオンズ時代に培ってきたグリップ感覚や指先の感触は、MLBのボールではまるで別物。さらにマウンドの傾斜の微妙な違い、20秒という厳格なピッチクロック、そして異文化での食事環境まで、投手のパフォーマンスに影響を与えるとは驚きです。
MLBのボールは「異物」——指先の感覚を取り戻すまでに、多くの日本人投手が1〜2シーズンを費やしてきた現実は、あまりにも過酷です。
(参考:Sports Illustrated「Tatsuya Imai Addresses Command Concerns Ahead of Astros Return」https://www.si.com/mlb/astros/onsi/tatsuya-imai-addresses-command-concerns-ahead-astros-return)
ポイント② 海外記者たちの容赦ない視線——「史上最大の失敗」という見出し
英語メディアの今井評価は、日本国内よりもずっとシビアです。
ヤフースポーツは「Astros’ Tatsuya Imai’s recent rehab start reaffirms concerning trend(今井のリハビリ登板が懸念すべきトレンドを再確認)」と報じ、アストロズ専門メディア「クライミング・タルズ・ヒル」に至っては「Tatsuya Imai’s brutal rehab appearance increases odds that Astros committed all-time blunder(今井の凄惨なリハビリ登板は、アストロズが史上最大の失敗を犯した可能性を高める)」という強烈な見出しを打ちました。
さらにABC13ヒューストンも「Astros’ struggling Tatsuya Imai to return to rotation next week(苦戦中の今井、来週ローテーション復帰へ)」と報道。「struggling(苦戦中)」というワードが象徴するように、地元ヒューストンのファンや記者の目は依然として厳しい状態です。
一方でABC13の記事は、今井が前回の3A登板について「自分のボールを投げられた感覚があった」とポジティブなコメントを残したことも伝えています。本人がどれだけ前向きでいられるか、精神力もこの局面では重要な要素です。
「史上最大の失敗」という言葉は辛辣すぎるかもしれないが、期待に応えていないのもまた事実——海外メディアの容赦ない評価こそ、今井が乗り越えるべき現実です。
(参考:Yahoo Sports https://ca.sports.yahoo.com/news/astros-tatsuya-imais-recent-rehab-134528691.html、ABC13 https://abc13.com/post/astros-struggling-tatsuya-imai-return-rotation-week/19052669/)
ポイント③ 先人たちが刻んだ道——日本人選手とアストロズの縁
少し視点を変えてみましょう。アストロズは日本人選手と縁が深い球団のひとつです。青木宣親選手や菊池雄星投手など、これまでも数多くの日本人選手がアストロズのユニフォームに袖を通してきました。過去には松井稼頭央選手もアストロズとゆかりを持つ球団として知られています。
そして今井達也は、わたしが30年間応援し続けた西武ライオンズのエースだった男。
松井稼頭央さんがNPBからMLBの壁を越え、メッツやロッキーズで戦い続けたように、西武ライオンズで鍛えられた選手はどこに行っても骨のある戦いを見せてくれる——そう信じたい気持ちは、ファン心理として正直なところです。
今井がアストロズで輝けば、それはライオンズOBのプライドを示すことにもなります。
先人たちが切り開いた舞台で、今井達也も日本野球の底力を見せてほしい。
(参考:パ・リーグ.com「アストロズ、今井達也の獲得を発表!過去には松井稼頭央、青木、菊池がプレー」https://pacificleague.com/en/news/2026/1/10045860)
今後の課題——復帰後に見せるべきもの
今井達也がMLBで生き残っていくために、今後解決が必要な課題を整理しておきます。
制球の安定化がすべての根本です。リハビリ登板でのストライク率43%は、メジャーはおろかマイナーリーグでも通用しない数字です。まず最低でもストライク率60%以上を安定して叩き出せるようになること、これが復帰後の最初の目標になるでしょう。
次に精神的な適応。ボール・マウンド・ピッチクロック・食事といった環境の違いは、想像以上に投手のパフォーマンスに影響します。チームのサポートを活用しながら、メジャーの「当たり前」に自分を慣らしていく作業が欠かせません。
そして最も重要なのが結果を出すこと。アストロズは台所事情から今井を復帰させますが、成績が伴わなければ容赦なくマイナーに降格させる判断もあり得ます。5月11日からのマリナーズ戦は、今シーズンの命運を左右するかもしれません。
管理人のつぶやき
西武ライオンズファン歴30年のわたしにとって、今井達也は「西武のエース」そのものでした。剛速球と鋭いフォークで数多くの打者を打ち取り、チームを支えてくれた投手。その彼がMLBという最高峰の舞台に挑戦している姿は、純粋に誇らしい。
ただ正直に言います——今の数字は、見ていて辛いです。ストライク率43%、防御率7点台、「史上最大の失敗」という見出し。日本でのあの今井達也はどこへ行ってしまったのか、と思う気持ちもあります。
でも思うんです。多くのNPB選手たちがMLB移籍当初は苦しんだ。それでも諦めずに適応し、やがてメジャーリーガーとして確固たる地位を築いていった先人たちがいる。今井達也も、きっとそういう選手のはずです。
5月11日のマリナーズ戦。わたしも画面の前でしっかり見守ります。
壁は越えるためにある——今井達也の挑戦に、まだまだ続きがある。

